そういえば金沢

gilles-nao2006-03-05

土曜日、日曜日とゼミの合宿で金沢に行った。

卒業直前の合宿で、家族や同僚から「何で」とか突っ込まれていたが、当初「修士論文完成打ち上げ」という裏テーマを設定した合宿にもかかわらず、マーケティング的なファインディングスに満ちた旅行だった。

特に面白かったのは、西暦718年に開業した旅館として知られる「法師」の四十六代当主、法師善五郎さんのお話。約1300年にわたって「法師」を生きながらえさせてきた経営の本質は、「守るもの」と「新しくするもの」との間の絶妙なバランスを判断してきたブランド・マネジメントの優位性と感じた。この当主の目からは、明治天皇のご訪問も「ついこの前」という時間感覚で、その一方で、その時代ごとの最先端の芸術や遊び、時代の空気にも精通していて、過去から継承してきたものを少しずつ適応させていく...そんな代々の当主の姿が、旅館のディテールの説明から浮かんでくる。
法師: http://www.ho-shi.co.jp/


ところで、私は昔金沢の郊外、野々市というところに小学校三年、四年の頃住んでいたことがあるが、それ以来金沢を訪れていない。金沢の街中を見ても、記憶に残っていたところは二、三カ所くらいだったが、野々市の近くに来て、電波塔と山並み(確か加賀連山と呼んでいたような記憶が...)を見て突然子供のときの記憶が一気に蘇ってきた。今通っているディーラーやファミリーレストラン、スーパーで埋め尽くされた幹線道路沿いの風景でわからなかったが、ここは田んぼと雑木林しかない場所だったはず。30年以上の時間が経ち、タイムスリップしたような感覚...

さらに、たまたまにぎやかに続く建物の切れ目で、田んぼと加賀連山だけが開けている景色をみたところで、子供の頃友達と自転車で一日中このあたりを走っていたときのことを思い出す。どこまで行っても、ずっと田んぼと雑木林と加賀連山だけの景色で、電波塔を目安に家に帰っていた日々...それだけでもなぜか楽しかった。