2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「世界共和国」

「ここでわわわれにヒントを与えるのは、国家以前の、部族連合体の例である。部族連合体はその頂点に王あるいは超越的な首長をもたない。先に私はこれを『国家に抗する社会』として見た。だが、今これを、諸国家がその上位に主権者をもつことなく、戦争状態…

「消費者としての選択」

「労働者は個々の生産過程では隷属するとしても、消費者としてはそうではない。流通過程においては、逆に、資本は消費者としての労働者に対して『隷属関係』におかれる。とすれば、労働者が資本に対抗するとき、それが困難であるような場ではなく、資本に対…

「目的の国」

「私の考えでは...宗教を批判しつつ、なお且つ宗教の倫理的核心すなわち交換様式Dを救出する課題を追求した思想家がいる。カントである。彼は、『他者を手段としてのみならず同時に目的として扱え』という格率を普遍的な道徳法則であると考えた。それが実現…

「社会構成体X」の可能性

このような私自身の問題意識とどこまで一致するかはともかく、柄谷は、「ネーション」に替わるアプローチとして「交換様式D」が支配的となった社会構成体である「社会構成体X」を探っている。 「ここで、交換様式Dについて述べておかねばならない。それは、…

「資本=ネーション=国家」の問題点

これまでに見てきた「互酬」「略奪と再配分」「商品交換」という性格の異なる三つの交換様式およびそれらを動かす「ネーション」「国家」「資本」の三つのメカニズムは、相互に連携しているため、それらのいずれか一つの立場から、他の交換様式やメカニズム…

「資本」

「資本」について、柄谷は次のように説明している。 「交換様式C(商品交換)が支配的となるのが、資本制社会である。」〔柄谷 (2010) 13p〕「第三の交換様式C、すなわち商品交換は相互の合意に基づくものである。それは交換様式AやB、つまり、贈与によって…

「国家」

ところで、柄谷は、この「ネーション」だけでなく、「国家」「資本」も、「支配的な交換様式に対応した社会構成体」として説明している。 「国家」について柄谷は次のように説明している。 「国家社会、すなわち、階級社会が始まると、この契機(交換様式A)…

「ネーション」

英語の”nation”には、三つの意味がある。 the people who live in a nation or country(その国に住んでいる人々) a politically organized body of people, under a single government(単一の政府の下において政治的に組織化された人々の集まり) a feder…

「資本=ネーション=国家」

柄谷 (2010) は、現在の資本主義国家を動かしていると考えている「資本=ネーション=国家」という「三位一体のシステム」を描き、さらに、そのシステムでは解決できない問題を解決するための新たなアプローチを提案している。 それでは、まず、「資本=ネー…

そういえば柄谷行人

この連休は、久しぶりに「読みたい本」を読んで楽しんでいます。 そんな中で、昨年秋に京都に旅行をしたときに、「哲学書コーナー」が充実している「ジュンク堂京都店」で、旅行中の荷物になるのがわかっているのにもかかわらず衝動買いした柄谷行人の「世界…